翻訳会社トライベクトル-弊社の美術、アート翻訳実績のご紹介

美術館・博物館が取り組むべき「有料化の壁」

アート翻訳トップ »

Banner_charge

弊社は多くの美術館・博物館様とお取引をさせていただく中で共通したお悩みをお持ちであることが分かってきました。

それは「美術館の様々なサービスが無料または安価のため収益が上がらない(または上がりにくい)」ということです。

これは、大規模博物館でも中・小規模美術館でも同じお悩みをお持ちの方が多いようです。あまり規模に関係が無い普遍的なお悩みと言えるでしょう。

美術館や博物館というのは、文化事業であるからこそ、一般企業ほど利益重視という考え方が浸透しないのか、それとも、もともと利益を追求するものではないということなのか考察したいと思います。

美術館、博物館の定義

まずはじめに、美術館や博物館はどんな使命を持って事業を行っているのでしょうか。

Wikipedia によれば、

「美術館とは博物館の一種であり、美術作品を中心とした文化遺産や現代の文化的所産を収集・保存・展示し、またそれらの文化に関する教育・普及・研究を行なう施設である」

とあります。ではさらに広義の意味である博物館はどういった定義なのでしょうか。

「博物館(はくぶつかん)とは、特定の分野に対して価値のある事物、学術資料、美術品等を購入・寄託・寄贈などの手段で収集、保存し、それらについて専属の職員(学芸員、キュレーターなど)が研究すると同時に、来訪者に展示の形で開示している施設である」

つまり、研究機関でもあり、文化財を収集して保存していく機関でもあるわけです。

当然ここには「利益や収益を上げる」という言葉は入っていません。未来へ向かって過去の素晴らしい遺産を保存しつないでいく事が重要です。それは人類の英知の集合であり、人類の歴史そのものだからです。

その素晴らしい仕事を具体的にどうやって未来へつなげていくのか

この目的に向かって美術館は日々の活動を行っているということになりますが、では具体的にどうやって文化遺産を保存し、収集し、展示していくことができるのでしょうか。

そこにはやはり人間の血と同じく「お金」というものが存在しなければなりません。

毎日の活動には「お金」がかかります。
お金を使って、保存や収集、展示といった業務を行っていかなければならないのです。

「お金を稼ぐ」という行為は、「未来へつなげていく」という目的のための重要な手段なのです。だからこそ、この手段をきちんと考えて実行しないとならないのです。

文化事業はタダであるべきか?

とはいえ、「美術は文化事業である」という言葉が独り歩きし、「利益を出す」という発想そのものが受け入れられないというケースもあります。

目的と手段が完全に間違っている場合にこういったことは起こります。しかしながら、その文化遺産を後世に伝えていくためには、血流でもあるお金をきちんとまわさなくてはなりません。適正な利益なくしては、美術館や博物館の運営はままならないためです。

そうは言っても、なかなかすぐに受け入れられなかったり、実際に行動に移すのは難しい側面もあります。

しかしそれでも有料化へ向けたチャレンジをすべきでしょう。あるお客様がぽろっとこぼしていたこの一言が真実なのではないでしょうか。

「入場料がタダだからどうしようもない」

では、美術館や博物館はどうすればいいのでしょうか?

まずは一部のサービスを有料化してみる

弊社もご提案していますが、収益を上げて美術館の運営をより活性化させるにはまずは現在無料のサービスを有料化してみることです。

簡単なことではありません。

しかしたとえ100円だったとしても、0円が100円になれば、美術館にとっての収益としては大きな進歩ではないでしょうか。

有料化するために重要なこと

海外の美術館は、日本と比べて潤沢な予算があり、学芸員の数も圧倒的に多いのは周知の事実です。

当然ながら、日本と海外の美術館とで提供できるサービスの質も量も違います。しかし、だからといってそれだけを言い訳にしては進歩しません。確かにできる事は少ないかもしれません。

ただその中でも、しっかり検討して改善できることは沢山あるはずです。それを考えてみましょう。

外国人観光客は「ちゃんと」お金を払う習慣がある

日本の美術館では無料のサービスでも、海外の美術館では有料のサービスも多く存在します。有料でも売れるのは、いくつかの理由があります。

  • そもそも長い歴史の中でそれが当たり前になっている
  • 「有料ならではの価値」がある(コンテンツの充実)

このような理由があるでしょう。前者は該当しなくても後者は日本の美術館でも行う事ができます。

ということは、もし有料化できたら外国人観光客にとっては「有料が当たり前」なのですから販売できる可能性があります。

ただし、ここで絶対に間違えてはいけないのは「外国人観光客にお金を払わせる」という発想です。

そうではありません。大切なのは、「外国人観光客が満足する良質なコンテンツ」を作ることです。

彼らの「知りたい」という気持ち、勉強したいという気持ちを汲んだコンテンツが必要なのです。彼らにとって価値の高いコンテンツなら、観光客はお金を払うのです。

彼らが、日本の美術館に来る目的は日本の文化を知るためなのです。その根本に沿ったコンテンツを提供することこそが重要なのです。

有料化すると何が起きるのか

このように、無料のサービスを有料化するにはステップが必要です。

  1. 外国人観光客の「知りたい」を把握する
  2. 彼らにとっての価値の高い「コンテンツ」として制作する
  3. 有料で販売する

このステップを進めていくと、いくつかの「変化」が起きます。たとえば以下のようなことです。

  • 明らかに収益構造が変わる

当然ですが、利益が上がるため財務諸表も改善されます。たった1円でも、たった100円でも利益が増えるわけです。

  • 館内スタッフのモチベーションが上がる

無料でもモチベーションは高く仕事はできますが、有料にした場合、それが「価値」に対しての「対価」となりますので、目に見えやすくなります。

「自分は1時間あたり○○円分の仕事をしている」というのは、文化事業としてはそぐわないかもしれませんが、アイデアや改善策が出るチャンスが広がります。

「やってもやらなくても、タダ」のものよりも売れたら利益になるのだと考えて行動する人が増えれば、「もっとこうしよう」「もっと価値の高いものを作ろう」と考えるのは自然な流れです。

  • 業務が活性化され、より来館者にとって価値の高いサービスや商品が出来上がる

人は、自分の好きなことをやっていれば放っておいても、勝手にモチベーションを高く、勝手に工夫して改善していきます。

しかもそれが人の役に立つことであればなおさらです。文化を未来へつないでいくことは、未来の日本人への素晴らしいギフトです。

まとめ

このように、ほんの一部を有料化し、外国人観光客の満足する価値を提供できればそれはお金が支払われて当然ですし、そういう活動を地道に続けていく事によって美術館全体の活性化につながります。

活気のある美術館は、外国人観光客をはじめとする来館者にとっても気持ちのいいものです。

弊社の推奨する「マタキタイ美術館」は、小さな風、小さな渦を起こすところから一過性のブームではない、地に足のついた美術館や博物館のマネジメントをお手伝いする事を目標としています。

繰り返しますが、これは簡単なことではありませんし、すぐにできることでもありません。しかし、文化に限らず、歴史は「変化」そのものです。

その歴史を未来へつないでいく文化事業を行う美術館や博物館こそ変化する部分があるのではないでしょうか。

弊社では、美術館・博物館様専門のインバウンド対策サービスである「美術館専門の外国人観光客 集客サービス」をご提供しております。

東京オリンピック開催なども重なり、外国人観光客は増える一方です。彼らを上手に集客し、新しい波を作ることは、これからの美術館や博物館様にとっても非常に重要なことではないでしょうか。

どうぞお気軽にお問い合わせください。

 

fb