ミュージアムは唯一の存在
これまでも何度かセミナー等でもお伝えしているテーマですが、ミュージアムという存在は、常に唯一無二の存在です。
株式会社であれば、競合他社が存在していたり、類似製品などが存在する可能性が高いのですが、(基本的に)ミュージアムにはそれがありません。
マーケティング的には、「差別化」するというのは戦略上大変重要ですが、ミュージアムは初めからそれを持っています。
弊社でコンサルをさせていただくと、意外とその「差別化要因」に気付いていないミュージアムがあることに驚くケースがあります。
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差別化要因とは何か
例を挙げますと、
- 「日本で唯一の○○博物館」と謳うことができる
- 「○○についての発祥(の地)」と謳うことができる
- 「創立○周年」
- 「日本最古の○○所蔵」
- 「日本で最初に○○した」
など、他館には真似のできないコンテンツをお持ちではないでしょうか。(ほとんどのミュージアムがお持ちだと思います)
こういった部分は、全面的に露出することによって外国人観光客からは「○○の専門博物館」や「日本で○○なら、ここだね」という風に捉えられます。
インバウンド(外国人観光客)向けとして考えるのであれば、購買決定プロセスで知られるAIDMA の法則に則って伝えていくことが大切です。
AIDMAの法則
AIDMA の法則とは広告宣伝等に対し、消費者がとる心理のプロセスのことです。それぞれの頭文字をとって「AIDMA」と呼ばれます。
A | Attention | 注意をひく |
I | Interest | 興味を持つ |
D | Desire | 欲求となる |
M | Memory | 記憶する |
A | Action | 行動する |
Wikipedia:AIDMA
「差別化ポイント」を分かりやすく伝える
外国人観光客は、熱心なリピーターでない限り、基本的には1回か2回程度の来日です。その中で、「○○ならここ」というポイントを分かりやすく説明しなければなりません。
そのためにも、他館にはないポイントを1つだけ出すことが大切です。どうしても「あれもこれも」と見せたくなりがちですが、そうなってしまうと差別化要因がボケてしまうため、期待する効果を得ることができません。
上述の例のように「日本で唯一の○○博物館」というものをはっきりさせ、展開するのが良いでしょう。
差別化ポイント=多様性に
一方、差別化要因というのは、多様性につながります。仮に「○○の博物館」というポイントを持っている場合ですが、その地域(県や市や町など)ぐるみでマーケティングに取り組むことができます。例えば以下のようなイメージです。
- ○○の博物館
- ○○の歴史にまつわる料理が食べられる飲食店
- ○○に基づいたアトラクション
- ○○デザインの特別列車
いかがでしょうか。観光施設だけではなく、飲食店や交通機関、商業施設など含めて差別化ポイントを使うことができますし、またそれが多様性を生み出すことにもつながります。(上記はあくまでサンプルです。様々なフレームワークを使うことでもっと多くのアイデアを出すことができるでしょう)
これに似た形として「ニューツーリズム」があります。
Wikipedia:ニューツーリズム
外国人観光客のニーズが多様化するにつれ、これまでの画一的なツアーでは、集客面での効果や、接客面での受け入れが難しくなっています。
そこで、「エコツーリズム」や「ヘルスツーリズム」「グリーンツーリズム」など、外国人観光客のニーズに合わせたツーリズムを提案しなければなりません。
※これはもはやインバウンドビジネスでは常識です。
もちろん、ミュージアムも同様の視点を持ちこむことが可能です。しかも「○○専門」といった特徴、差別化ポイントを初めから持っていることが多いため、「○○ツーリズム」といった発想も可能になります。
まとめ
一朝一夕で出来ることでは無いかもしれませんが、今と同じことをやっていれば、来年も再来年も同じ結果になるのは明白です。「できる範囲で少しずつ進めていく」という考え方で行動していくことをお勧めします。なお、その際には「外国人観光客の視点」からインバウンド対策を考えていくことは大変重要です。
ぜひ貴館におきましても、多様性のあるインバウンド対策を検討してみてはいかがでしょうか。