館内サインとは
観光施設には必須の「サイン」ですが、ミュージアムにおいてもその重要性は計り知れません。異なる言語圏からの外国人観光客にとっても大きな助けとなるものですから、インバウンド対策の中でも特に力を入れて準備しなければなりません。
サインの重要性
「第1展示室」や「出口」といった標識は、自分がいまどこにいるのかを知る上で大変重要です。外国人観光客が初めて訪れたミュージアムなら、入館時に渡される館内パンフレットに同じ表記をしておくことで、現在地を知ることができます。自分が見たい作品にはどこを通っていけばいいのか、戻るには、出るにはどうすればいいのかは、サインを見て行動する人がほとんどでしょう。
特にインバウンドの場合には外国人観光客が10回も20回も同じミュージアムに訪れることは恐らくかなり稀ですから、サインは無くてはならないものでしょう。
インバウンド向けのサインの種類
では、館内のサインにはどんなものがあるのでしょうか。
観光庁発行の「観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン」によると、サインは以下のように分類されます。
http://www.mlit.go.jp/kankocho/news03_000102.html
このようにミュージアム(美術館、博物館)はほかの施設よりも特に重要で必要だというのがよく分かります。
翻訳の必要のないサイン:ピクトグラム
絵文字のようなものをピクトグラムと呼びますが、これは「エコロジー・モビリティ財団」によるピクトグラムが広く使用されています。
交通エコロジー・モビリティ財団:標準案内用図記号(観光・文化・スポーツ施設編)
http://www.ecomo.or.jp/barrierfree/pictogram/picto_004.html
■推奨度B
■推奨度C
また、ピクトグラムと並んで、地図記号も重要です。
国土地理院:外国人にわかりやすい地図作成の取り組み
http://www.gsi.go.jp/kihonjohochousa/kihonjohochousa40072.html
翻訳が必要なサイン:注意事項、案内、作品解説
ピクトグラムは翻訳が必要ありませんが、逆に翻訳しなければならないものもミュージアムには多く存在します。
また上述の「観光ガイドライン」によると、多言語の表示方法の基本ルールも記載されています。
上記はあくまでもガイドライン推奨のものですので、これが絶対ということではありませんが一定の目安となります。
またミュージアムの場合には、作品とのバランスも考慮しなければなりません。「いかに作品展示の邪魔にならないように多言語表記を実現させるか」というのは今後の大きなテーマのひとつと言えるでしょう。
サインの翻訳時の注意点
サインを翻訳する際に抑えておきたいポイントは以下の3点です。
表記の統一
これは当たり前ですが、館内パンフレットの表記とサイン表記が違っていれば、来館者は混乱します。必ず表記は統一しましょう。「観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン」は翻訳にも役に立ちます。
http://www.mlit.go.jp/kankocho/news03_000102.html
また「文化財の英語解説のあり方について」というレポートも参考になります。
シンプルに、平易に
どの言語であっても、「分かりやすく、平易に、シンプルに」翻訳することが大切です。サインは特にそうですが、伝わらなければ意味がありません。しっかり伝わる翻訳を心がけましょう。
できるだけ外国人観光客の立場に立って翻訳する
これは翻訳だけに限ったことではありませんが、結局のところ「相手の立場に立った」対応ができるかどうか、がカギとなります。それができれば親切なサイン表示ですし、そうでなければ、「それなりのもの」として捉えられるだけでしょう。
「おもてなしの心」というのは、相手の立場に立って対応することが中心にあると言えるのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしょうか。このように館内サインの役割やその重要性を理解して翻訳することによって、翻訳の品質にもこだわる必要があったり、また表示方法や表示場所など展示にも密接に関係するということもご理解いただけたかと思います。
来館者にとっては、サインによって取るべき行動が変わりますから、満足度にもダイレクトに影響します。たかがサイン、されどサインなのです。
「神は細部に宿る」と言いますが、相手の立場に立ったインバウンド対応がこの SNS 全盛の時代にクチコミを引き起こす原動力となるのは間違いありません。
弊社のミュージアム専門のインバウンド翻訳・ローカライズサービスにご興味がございましたら、お気軽にお問い合わせください。