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「困りごとは無くなった」からこそ、いよいよ「本当のインバウンド対応」の時代に

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外国人観光客の困りごとが無くなった

先日、観光庁が以下のレポートを発表しました。

旅行の場面ごとの多言語表示・コミュニケーションの課題が明らかになりました ~多言語表示・コミュニケーションの受入環境について訪日外国人旅行者にアンケート調査を実施~

http://www.mlit.go.jp/kankocho/news08_000239.html

 

まずはこれまでの推移を遡って順に見てみましょう。

2014年

 

2015年

2016年

2017年

観光庁の資料を見ると、項目の順番等が違っていたりしますが、2016年から「困ったこと」の内容が変化しています。

Wifi などのハード面での不満から、言語面、コミュニケーションなどソフト面での不満へシフトしています。ハード面での不満はほとんと解消されたとみていいのではないでしょうか。

ミュージアムとして考える「困りごと」は解決されているのか?

冒頭にご紹介した調査結果では、「困りごと」もだいぶ解消されているのが分かります。

※交通機関の分かりにくさや医療保険などは、ミュージアムと直接的には関係ありませんので、除外して考えます。

一方でこの調査結果のある部分がとても気になります。

それは、「施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれない」と「多言語表示の少なさ・わかりにくさ(観光案内板・地図等)」です。

この部分は、いまだ解決していません。

当初は、Wifi などハード面での不満が前面に出ていたため、お互いにコミュニケーションどころではなかったのかもしれませんが、いよいよインフラが整ってきたところで、コミュニケーションへの不満が露呈したというところではないでしょうか。

コミュニケーションには色々な形があります。ミュージアムの場合では

  • パンフレットや Web サイト
  • 受付接客
  • 音声ガイドや解説文
  • 館内の案内ロボット
  • デジタルサイネージ

といったものなどが挙げられます。

しかし、この観光庁の調査結果には「施設のスタッフとの」という記述があります。コミュニケーションの中でも、また旅の醍醐味としても「対人でのコミュニケーション」も外すことはできないでしょう。

ガイドが多言語化されているだけではダメ?

ここから考えると、確かにパンフレットを多言語に翻訳したり、音声ガイドを英語にするといった施策は重要ではあるのですが、館内スタッフとのやり取り(コミュニケーション)も重要だと考えられます。

「英語はちょっと・・・」という場合でも、実際にその状況になれば逃げるわけにもいきません。

対策としては、簡易的に接客用カードを作って携帯したり、英会話の練習をしたりと、何らかの学習機会を設ける必要があります。

外国人観光客の本来の目的は、ミュージアムを訪れ、そこにある展示作品などを鑑賞することにあります。そのため、ずっとスタッフの方と話しているわけではないでしょうから、簡単な会話や想定問答ができればそれで問題ないと言えるでしょう。

大切なのは、外国人観光客と笑顔でコミュニケーションをとり、館内を楽しむ、庭園を楽しんでもらい、また日本に戻ってきてもらうことです。

そのために、パンフレットだけではない、生の人間同士のコミュニケーションにも力を入れていく必要があります。

ちなみに、弊社では、「接客英会話」の講座やエグゼクティブ向け英会話などのサービスプランもございます。英会話のコンテンツを貴館向けにカスタマイズした内容での英会話講座も対応可能ですのでお気軽にお問い合わせください。

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このように様々な場面、様々な対象者、様々なレベルに合わせて英会話を学ぶことができます。

また弊社のインバウンドサービスでは、受付代行やギャラリートーク代行なども行っております。

ミュージアム専門の外国人観光客(インバウンド)サービス

https://art.trivector.co.jp/inbound/

 

「モノ」から「コト」体験へのシフトで、コミュニケーションは一層重要に

さらに、ここ最近では「コト」体験という言葉が浸透してきました。モノを見る、モノを買うという行為だけなら、パンフレットやカタログ、Web サイトでも十分に補完できますが、コトの場合にはそれだけではうまく行きません。

なぜなら「体験」は人間の主観や感情、価値観がダイレクトに出るものだからです。

例えば、こんな感想を外国人観光客から言われたらどう応えるのでしょうか?

「○○体験をしたけれど、生まれて初めての体験で、最初は本当に申し込まなければ良かったと後悔したわ。だけど、実際やってみたら、これがとっても楽しいの!教えてくれる人もとっても丁寧で、根気よくサポートしてくれたから、世界で一つだけの私だけの○○を作ることができたのよ!確かに形は不格好かもしれないけれど、これは今回の旅行の中でも素晴らしい体験のひとつだと断言できるわ」

 

これには正解はありません。「それはとっても素晴らしい体験でしたね。実は同様の体験が明日もありますよ」という回答なのか、「ありがとうございます。楽しんでいただけたようで何よりです。とってもお似合いですね」という回答なのかは、対応するスタッフによって異なるはずです。

そしてここにこそ、「施設のスタッフとのコミュニケーションの醍醐味」があるわけです。

自分自身が海外旅行に行ったときに、現地の人との触れ合いややり取りがある方が、その旅行は楽しいものになるはずです。素晴らしい観光施設、素晴らしい体験を支えるのは、旅先での出会いやコミュニケーションだからです。

それがなければ、リピーターにはならないのです。

まとめ

ロボットや AI など人間に取って代わる便利なツールがこれからも増えていくことが予想されます。そしてそれは確実に海外旅行を便利にするでしょう。私たちもそれらの恩恵を受けることも簡単に想像されます。

しかしながら、旅の醍醐味という点では、今回の調査結果にあったように、コミュニケーションをしっかりととりたいというニーズがあるのは当たり前の話で、それがようやく顕在化したと見るべきでしょう。

インバウンド産業全体に言えることではありますが、特にミュージアムにおいては、パンフレットや Web サイト以外でどうやって積極的にコミュニケーションをとっていくかを本気で考えなくてはならない時代になってきているのではないでしょうか。