弊社では、ミュージアム専門のコンサルティングプランをご用意しております。
昨年からスタ―トしたプランですが、先日コンサルティングを行っている館の方から、「どうして翻訳だけじゃなくて、コンサルしているの?」と改めてご質問をいただきました。
とても良い機会でしたので、その経緯やきっかけをまとめておきたいと思います。
コンサルティングを始めたきっかけ
そもそも、コンサルティングプランをご提供するに至ったのは、今から数年前に訪れた某県の有名観光地での出来事がきっかけです。
その観光地は関東でも非常に有名な地域でした。すでに外国人観光客も多く訪れているであろうことは想像に難くありません。ある日、その中にあるミュージアムから弊社にお問い合わせをいただき、お伺いすることになりました。
外国人観光客で大盛況だった訪問先のミュージアム
日程を調整し、お伺いしたミュージアムは、すでにインバウンド対策も進んでおり、多くの外国人観光客が来ている状態でした。館内も拝見し、確かに外国人観光客にはウケそうなものを展示していました。また、庭園なども手入れが行き届いており、外国人観光客だけでなく日本人観光客も多くの方が写真を撮っていました。
それらを横目に、打ち合わせも終わりかけたとき、同席されていた某市のご担当者の方に「もう少し時間ありますか?」と聞かれました。
「はい、もちろん」と答えたところ「実は、もうひとつ見てほしい施設がありまして・・・」ということでしたのですぐに快諾し、その場所まで車で送っていただきました。
道中はわずか10分程度の道のりで、某市のインバウンドへの取り組みや直前に訪問したミュージアムのインバウンド対策など色々なお話をお伺いしました。しばらくして目的のミュージアムに到着しました。
ところが、そこで見たものは、想像を絶するものでした。
「やる気のない学芸員」
賑わっていたミュージアムから車で数十分の場所にある、別のミュージアムに到着するやいなや、明らかに人の気配はなく、閑散としているのが手に取るように分かりました。
多くの外国人観光客が訪れていた最初のミュージアムから、それほど遠くない場所にも関わらず、です。この差はいったい何なのか、先ほどのミュージアムとのギャップも大きく、しばし茫然としていました。
が、間もなくその答えは明らかになりました。
館内に案内され、スタッフの方とご挨拶させていただきましたが、明らかにやる気を失っている方々ばかり。事務方の女性からは、「Wifi がない」「そもそもネットワークが整備されていない」「英語の解説がない」「市が動いてくれない」といった現状を嘆く声がほとんど。
一方、たった数十分離れた場所では、「インスタ映え」するロケーションを持つミュージアムに外国人観光客が集まり、SNS などを利用して世界中に発信しているのです。しかし、このミュージアムは閑古鳥。
観光施設は某市がバックアップしていますし、訪問日が平日だったこともあるとは思いますが、それにしても「どうせ人は来ないから」というスタッフの方々の態度は、見ていて哀しくなってしまったのも事実です。
お話をお伺いすると、このミュージアム自体は、彫刻がメインですが、天井のステンドグラスなども大変美しく、ひとつひとつ楽しめ、見どころは多くあるとのこと。
さらにナイトミュージアムの開催などを(単発で)行ったり、ミュージアム近くにある公園ともタイアップするなど、何とか集客しようという気持ちは伝わってくるのですが、いかんせん集客できていないのが現実。
スタッフの方から「うまく行っていない」というお話をお伺いし、正直なところ、暗澹たる気持ちになりました。お客さんが来ないことによって、そこに働く方々のやる気も徐々にそがれていき、付け焼刃的な対策だけで単発での集客をしているわけです。企画展でも特別展でも準備に多少になりともお金はかかります。某市の方針ではそこまで予算を割けないということのようですが、このままでは、たった1か所のミュージアムが隆盛を誇っていても、地域全体としては盛り上がりに欠けている状況が改善することはないというのは明白でした。
「果たしてそれは本当に正しいインバウンド対策と言えるのだろうか?」
という気持ちがふつふつと沸いてきました。と同時に、
「ウチは、本当に翻訳サービスだけ提供していればいいのだろうか?」
という気持ちにもなりました。
その後、挨拶もそこそこに館内をご案内いただき、学芸員の方から解説をいただきながら感じたのは「もったいない」という感想です。地元の有名な彫刻家の作品が所狭しと並んでいるこのミュージアムに、外国人観光客どころか日本人客さえチラホラ・・・という状態。
そんな状態だからか、積極的な集客もしない(できない)。そしてさらにお客さんがやってこないという「負のスパイラル」に陥っているのは明白です。
さらに一番問題だと感じたのは、ミュージアムで働くスタッフの方々のやる気さえ奪ってしまっているという事実です。しかし、これはスタッフの方に原因があるわけではいのです。
そんな状況を見ながら、市の担当者の方は「もう1か所だけ・・・」ということで、さらに別のミュージアムへ連れて行ってくださいました。
「誰も来ないミュージアム」
こちらも車で10分圏内のミュージアムでした。著名なアーティストが自宅兼アトリエとして使用していた場所です。名前を聞けば、アートに詳しくない人でも知っている位のかなり有名な方です。
にも関わらず、お伺いしたときには、先ほどのミュージアム同様、こちらのスタッフの方々も暇そうにしていました。
スタッフの方に聞けば、「来館するのは、1日に数人程度。来ない日もある」ということです。
これはほとんど来館者数が無いということであり、それではやはりやる気にはなれません。集客がうまく行っていない、もしくは行なっていないというケースが考えられます。
外国人観光客やインバウンドなどという言葉とはかけ離れた世界になっていたのです。
勝手な使命感
そこで、率直にスタッフの方にお聞きしました。
「来館者、増えたら嬉しいですか?」
このストレートな質問への回答は
「もちろん!」
と即答でした。当たり前です。スタッフの方は「この著名なアーティストのアトリエを見てほしい、作品を知って欲しい、来てよかったと思ってほしい」と願っているのです。
今でもその時のスタッフの方の表情を忘れることはできません。
「翻訳サービスだけではいけない」
そう誓ったのもこの時です。
ミュージアムに特化しているからこそできる
すでに弊社ではミュージアム専門のインバウンド関連サービスをご提供しています。
しかしそれは、あくまでもひとつひとつのサービスをご利用いただくに過ぎず、一気通貫、横断的にご提案をするものではありませんでした。
しかし現実は、外国人観光客の集客に困っている館、また館内の改善に頭を悩ませている館など、お客様ごとにお悩みのレベルは様々です。
「何か始めればいいか分からない」という館もありますし、「ここはどうすればいい?」という館もあります。
弊社では、ミュージアム専門のインバウンドセミナーを展開しております。
これらのセミナーだけでは、どうしても一方通行でお伝えする内容が多くなってしまい、「自分たちの館」の状況に合わせて具体的な打ち手を考えていくのは厳しい側面があります。
「何とかしたい」という気持ちから、「やはり現状把握、計画から一緒に考えていくしかない。そしてそれができるのは自分達しかいない」という方向になったのは、自然な流れでした。
気持ちだけでなく仕組みを
訪れた2館のスタッフの方がもっと生き生きと働くためにも、またインバウンドをブームで終わらせず、集客エンジンをしっかりと搭載し、東京オリンピック以降も日本を知ってもらうためにも、お役に立てることはないかという気持ちからミュージアム専門のインバウンドコンサルティングプランを設計しました。
プランでは、3つの価格体系でご提供しています。
Accounts
Free Trial
Projects
SSL
Storage
Domains
Your Text
スポット診断
5,000円/回
お試しプラン
1回のみの診断
現状分析レポート提出
スタンダード
29,800円/月
全体設計とご質問に回答します
6か月~
現状分析・全体レポート
目標設定・プラン策定
戦略提案
定期訪問(月1回)
メール・チャット相談
プレミアム
98,000円/月
二人三脚で PDCA を回していきます
6か月~
現状分析・全体レポート
目標設定・プラン策定
戦略提案
定期訪問(月1回)
メール・チャット相談
Web解析レポート
このプランをご利用いただくことで館の現状把握と、できるところ、進められるところからのインバウンド対策を一緒に考え、その施策を実行していくことができます。
また担当するコンサルタントは、全日本情報学習振興協会認定の「インバウンド実務主任者」資格を取得した者だけです。インバウンド産業全体を見渡しながら、ミュージアムにとって最適なソリューションをご提供します。
このように、まさに二人三脚でインバウンド対策を行っていくことができるのです。
弊社は、貴館のマーケティング部隊としてインバウンド対策をしっかりと行い、「何とかしたい」という気持ちだけでなく、冒頭でお伝えしたようなミュージアムをこの日本からなくし、全国のミュージアムが力を合わせて、外国人観光客を迎え、喜んでいただけるようなスキーム(仕組み)を作りたいと考えております。
こんなお客様に最適
コンサルティングプランは、大規模館というよりは、どちらかと言えば中小規模館向けです。大規模館の場合には、すでに多言語翻訳などをはじめとしたインバウンド対策は進んでいること、また役割分担も行われており、それに伴うマンパワーもあるため、特にコンサルを行う必要がありません。
しかし、中小規模館は違います。10人、20人という限られたスタッフの数で、何でもこなさないといけない状態です。そこに来てこのインバウンド対策まで担当しなくてはならないため、スタッフの方々は多忙を極めています。
しかもインバウンド担当は、本来の業務と同じくらい重要です。なぜなら将来はこの「インバウンド」を外すことができないためです。片手間でやれるような業務量でもなく、重要度も高い。少数で運営している中小規模館にとっては、さらなる業務過多の状態は否めません。
だからこそ、私たちは中小規模館の皆様のお仕事の負荷が少しでも楽になり、かつきちんと方向付けをしてインバウンド業務をスムースに推進できるお手伝いをさせていただきたいと考えています。
まとめ
弊社がコンサルを行っているのはミュージアムのみであり、そのきっかけは今回お伝えした出来事をはじめとした「困っている、悩んでいる館が多い」という事実です。
コンサルティングにせよ、セミナーにせよ、オリンピックがあるから、インバウンドが増えているからという一時的なブームに立脚するのではなく、「日本の伝統や文化をしっかり海外に発信して後世に伝えていく」という観点から、このインバウンドコンサルティングをはじめとした種々のサービスを展開しております。
もし「どうしていいか分からない」、「何か始めればいいのか」、「うちはちゃんと間違いなく進んでいるのか」といったお悩みをお持ちのお客様はお気軽にお問い合わせください。